2023年6月7日、京都/パリ発-本日、大手企業、日本政府、国連の関係者が京都に集結し、日本における消費財バリューチェーンに関する協力関係を強化し人権の尊重を推進するための円卓会議を開催しました。この円卓会議は、コンシューマー・グッズ・フォーラム(CGF)のグローバルサミットで開催され、日本の労働者の権利を尊重するために責任あるビジネス慣行はどうあるべきかについて、特に人権デュー・ディリジェンス(HRDD)に焦点を当て、有意義な意見交換が行われました。先日、広島で開催されたG7サミット(主要7カ国首脳会議)では、より包括的な労働市場の実現に向けた強い抱負が議論されましたが、この度の円卓会議は日本においてこの抱負を実現するための重要な第一歩となりました。
2時間に及ぶこの円卓会議は、CGFのCEOが主導する人権連合(Human Rights Coalition: HRC)が、CGF 日本サステナビリティワーキンググループ(JSLG)の協力を得て主催したもので、消費財業界における労働者の権利の尊重を可能にするための最善の協力方法について、官民のリーダーがそれぞれの立場から見解を述べる場となりました。中谷元・内閣総理大臣補佐官(国際人権問題担当)と農林水産省新事業・食品産業部食品製造課の西元哲生氏は、責任ある採用・雇用を奨励する日本政府の取り組みについて講演しました。講演では、政府が最近発表した企業のHRDDに関するガイドラインについての言及がありました。2019年に日本政府が策定した人権に関する行動計画に基づき、全ての人に公正な労働条件を確保するという、G7議長としての日本の決意を後押しするものです。こうした進歩により、日本はアジアで初めてHRDDの強力な枠組みを持つ国となり、他のG7のカウンターパートと足並みを揃えることになります。
現代的形態の奴隷制に関する国連特別報告者の小保方智也氏も登壇し、日本がビジネス界および他のステークホルダーと共に継続してHRDDの強化に取り組んでいることを歓迎しました。HRDDの自主的・義務的な取り組みが世界的に求められ続けている中、強制労働や現代奴隷の事例がかつてないほど増えています。小保方氏は、世界の人権のために円卓会議参加者が継続的に協力することを奨励しました。
また、JSLGのメンバー企業がバリューチェーンにおけるHRDDシステムの導入経験を共有する場も、この円卓会議で設けられました。不二製油グループ本社ESG部門長の平松義章氏はHRDD導入の事例を、日本マクドナルド株式会社VP・チーフコミュニケーションオフィサーのジョナサン・クシュナー氏は日本マクドナルドのサプライチェーンにおけるデュー・ディリジェンス導入の取り組み事例を紹介しました。そして、味の素株式会社サステナビリティ推進部サステナビリティ(社会)グループ長で、JSLG社会的サステナビリティ・ワーキング・グループのリーダーの渡邊裕見子氏は、味の素グループの活動や企業と日本政府との連携強化の取り組みについて説明しました。
さらに、モンデリーズ・インターナショナルのSVP兼チーフインパクト・サステナビリティ・オフィサーであるクリスティン・モンテネグロ・マクグラス氏とネステのサステナビリティ担当副社長であるサラ・アホネン氏も円卓会議に加わり、これらの取り組みに対する世界的消費財ブランドの視点を共有し、HRCメンバーがグローバルに展開する自社の事業においてどのように整合性のあるHRDDアプローチを実施しているかの例を示しました。HRC共同議長のポール・ラリ氏(コカ・コーラ社 人権担当グローバルバイスプレジデント)は、日本の企業と、世界のブランド・小売企業の双方の取り組みをいかに連携させ加速させれば労働者に最大の影響を与えることができるかについて西元氏と話し合いました。
コカ・コーラ社 人権担当グローバルバイスプレジデント兼HRC共同議長、ポール・ラリ氏のコメント:「私たちは、日本政府がサプライチェーン全体で企業の持続可能性を推進するためのリーダーシップを発揮していることを嬉しく思います。世界中の企業に人権尊重を根付かせることは、より良い明日を築くことを願うすべての人々にとって喫緊の課題です。本日のディスカッションで強調されたように、世界の最も脆弱なステークホルダーのために意味のある進歩を実現するためには、企業、政府、市民社会の真の協力が必要です。CGF HRCは、企業のバリューチェーン全体で人権の尊重を推進するため、今後とも包括的なパートナーシップを模索し、世界中の消費財企業のベストプラクティスを支援し続けてまいります。」
不二製油グループ本社ESG部門長、平松義章氏のコメント:「本日、紹介しました当社の事例が、多くの企業ならびに政府関係者の皆様にとって、今後、活動を進めていく際の参考となり、持続可能な食のバリューチェーン構築の加速に寄与できましたら幸いです。」
現代的形態の奴隷制に関する国連特別報告者、小保方智也氏のコメント:「労働者の権利の保護と人権デュー・ディリジェンスの実施は、ビジネスの繁栄と密接に関係しています。日本の政府と企業の間で一層の協力が深まる中で、その協力の取り組みの結果として、労働者にポジティブな影響がもたらされることを期待しています。」
– ENDS –
編集後記:HRC は、消費財のバリューチェーン全体で人権デュー・ディリジェンスを推進し、労働者の権利の尊重を可能にする CEO 主導の行動連合で、約30社が加盟しています。世界中の労働者の責任ある採用・雇用を確保するための、消費財企業による世界最大のイニシアティブと言えます。また、JSLGの社会的サステナビリティ・ワーキング・グループは、日本のCGF会員21社で構成され、地域市場における主要な持続可能性の問題、特に人権問題について協力しています。
人権連合(Human Rights Coalition)について
人権連合(Human Rights Coalition)は、バリューチェーンのあらゆる段階で労働者の権利を確実に保護し尊重し改善するために、ビジネス慣行全体でデュー・ディリジェンスを強化する消費財企業の主要な集合体です。HRCは、世界中のメーカーと小売企業が集う唯一の組織であるコンシューマー・グッズ・フォーラムが主催するCEO主導のイニシアティブであり、最高レベルのリーダーシップのもとで推進される連携的かつ加速的な行動を通じて、 特に強制労働など、自社のビジネス慣行において顕著な人権上の影響に効果的に対処する企業を支援します。HRCの活動は、業界初となるCGFの強制労働に関する社会的決議(Social Resolution on Forced Labour)、また、優先業界原則(Priority Industry Principles)、そして主要な業界ステークホルダーとの継続的な関係を基盤にしつつ、消費財サプライチェーンにおける強制労働問題に関するCGFの長い取り組みの歴史を引き継いでいます。人権連合の詳細については、www.tcgfsocial.com をご覧ください。
コンシューマー・グッズ・フォーラム(CGF)について
コンシューマー・グッズ・フォーラム(CGF)は、世界中の消費財業界に役立つ実践と標準の世界的な採用を奨励するために、会員によって推進されるパリティベースの世界的業界ネットワークです。70カ国約400の小売企業、メーカー、サービスプロバイダー、その他の関係者のCEOや上級管理職が集まり、地理的、規模的、製品カテゴリー的、フォーマット的にも業界の多様性を反映しています。会員企業全体の売上高は3兆5000億ユーロで、1000万人近くを直接雇用し、さらにバリューチェーンで9000万人の雇用があると推定されています。メーカーおよび小売企業のCEO55人以上で構成される理事会によって運営されています。詳細は、www.theconsumergoodsforum.com をご覧ください。
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ディディエ・ベルジェレ(Didier Bergeret)
コンシューマー・グッズ・フォーラム
サステナビリティ担当ディレクター
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新藤 理子
コンシューマー・グッズ・フォーラム日本事務所
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マデリン・ヴァンダーヘイデン(Madelaine VanDerHeyden)
コンシューマー・グッズ・フォーラム
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